katsu708のブログ

本とか、映画とか、感想とか。

ゼロ・ダーク・サーティ

 

 

  アメリカによる政治の宣伝のための創作だってのは各所で散々言われているだろうけど、そもそもプロパガンダを指向しているのかは疑問ではある。最後の作戦だって決定的な証拠がある訳ではなく、とりあえず行ってみて何もなければこっそり帰ってくることが担当者のゴリ押しで決まったわけで、華々しい成果かと言われれば微妙なところではある。あと、テロの犠牲になったCIA職員は控えめに言っても警戒が足りないし。あと、CIAって18歳でリクルートされるものなんだなぁと本筋と関係ないことを思ったり。

 ただ、世論の感情で報復攻撃が行われたのではなく、あくまで主人公の妄念や執念が標的を追いつめたかのような表現になっているのが面白い。

 主人公の変化はこの映画を見る上で注目すべきポイントで、最初の拷問に目を背けてた彼女がすぐ後には自ら(間接的に)拷問していた。保守的に話を作るなら転機になるエピソードを挟むところだけれど、あえてそれをしないことで、彼女の適応能力や意志の強さを見せているのが伏線になっている。

 序盤で同僚によって語られてもいる彼女の冷血さは話が進むごとに示されていく。思い通りにならない上司を(おそらく)失脚させ、突入作戦を強硬に支持する。友達はいないけど酒を飲むシーンは多い。状況は進展しないのに彼女自身が精神的、社会的に危険な方へ転がっていくスリルがある。そして全てが終わったあとに涙を流すがその意味は語られない。それは恐らく彼女自身の破滅であったように思う。対象を殺害するために十数年を捧げてきた結果、彼の死によってもたらされた終わりには何かの始まりを感じさせるものではなかった。単なる終わりとしてそこにあるだけだ。

 

三月に読んだ本

 

闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)

 

 だいじなことが書いてあるから、進学や就職とかの人生の転機に読んだらいいと思う(死んだ魚のような目で)。

 

  なにこの投げっぱなしジャーマンみたいなすごい(ほめてる)。読んでいて一番の驚きは続刊があること。

 

 絵の濃淡がはっきりしてて好き。アニメが話題になってないような気がするってことは出来はお察しくださいことなんですかね……。

 

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

 

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

 

 

 経営学の最前線を紹介しているけれど、噛み砕きすぎて逆にすごさが伝わらないような。著者も言うように、自然言語で記述される経営学は、正確性や再現可能性、反証可能性に多々難がありそうである(数式や統計理論によって記述される経済学もそれはそれで困難を孕むけれど)。

 ごく一部の勝者が存在するのがビジネスの世界であるのならば、そもそも現代の経営学(主に北米)の主流の演繹的なアプローチの意義は見いだしにくそうである。また、ビジネス上の成功は回帰分析が有効な回帰式で表せるのか(成功というのは外れ値ではないのか)にも疑問が残る。 一方で、平均的な成功を目指すのには有効でありそうだ。つまり飛び抜けた成功をする方法ではなく、失敗を減らしたり成功の確率を高める方向の活用法である。 あと、ガウシアン統計というのは、正規分布を仮定している統計処理ってことで良いんですかね。

 自分としては実学としての経営学を求めているので、経営学が学問かどうかという疑問やそのアイデンティティには全く興味は無いのだが、組織学習の概念は面白かった。

互いを知り合うほど「相手が何に詳しいか」というトランザクティブ・メモリーを自然に持つようになる。(p.97) 互いを知ることで自然に形成されるとランザクティブ・メモリーを強制的にゆがめると、むしろ組織の記憶の効率は落ちる可能性がある。(p.100) 

「当面の事業が成功すればするほど、知の探索を怠りがちになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞する」というリスクが、企業組織には本質的に内在しているのです。これが「コンピテンシー・トラップ」と呼ばれる命題です。(p.137)

 多くの企業が激しい競争を行っている中で、「ごく一部の勝者」が存在するのがビジネスの現実です。(略)もしこのようなごく一部の勝者が、平均的な企業とはまったく違うメカニズムで勝っているのであれば、そしてそれが既存のガウシアン統計では何をどうやってもとらえきれないのであれば、それらをどのように分析していくかは、経営学をより「役に立つ」ものにするための重要な課題と言えるでしょう(p.325)

 

 

米国債金利とドル/円レートの比較

 米国債金利とドル/円レートの比較(2005年〜)

ドル円レート:終値(東京金融取引所)

米国債金利:10年(FRB

 

 相関はあるようなないような。

 

 ここ最近のグラフでは、

データは同上

 相関がありそう。

フィリップス曲線の図示


フィリップス曲線を書いてみる。

 

 

 

失業率:就業状態別15歳以上人口 - 全国(統計局)

 

インフレ率:消費者物価指数(全国・年平均)の前年比(統計局)

 

 図示してみるとちゃんと直線になっているような気はする。ただしインフレ率がほとんどゼロの国で考えるのは意義がないかもしれない。

 

 

 失業率、期待インフレ率の線形結合で名目賃金の上昇率が表せるらしいので、重回帰分析でもしてみようかと思ったが、名目賃金の上昇率のデータが見つからないので挫折。